彼氏からもらったのは偽物のブランドバッグ

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家を買うために、彼氏の平井要(ひらい かなめ)と節約生活を頑張ってたんだ。 なのに、この間、要がボーナスで40万円もらったって言って、ブランドバッグをプレゼントしてくれた。 正直、嬉しかったけど、同時に「これ、必要だったのかな?」って思っちゃった。 それで、レシートとバッグを持ってお店に返品しに行ったんだけど、店員さんにこう言われた。 「こちらの商品、偽物ですね」 は?ってなったよ。でも、レシートは本物なんだよね。

Chapters (1)

第1章

家を買うために、彼氏の平井要(ひらい かなめ)と節約生活を頑張ってたんだ。 なのに、この間、要がボーナスで40万円もらったって言って、ブランドバッグをプレゼントしてくれた。 正直、嬉しかったけど、同時に「これ、必要だったのかな?」って思っちゃった。 それで、レシートとバッグを持ってお店に返品しに行ったんだけど、店員さんにこう言われた。 「こちらの商品、偽物ですね」 は?ってなったよ。でも、レシートは本物なんだよね。 第1話 家を買うために、彼氏の平井要(ひらい かなめ)と節約生活を頑張ってたんだ。 なのに、この間、要がボーナスで40万円もらったって言って、ブランドバッグをプレゼントしてくれた。 正直、嬉しかったけど、同時に「これ、必要だったのかな?」って思っちゃった。 それで、レシートとバッグを持ってお店に返品しに行ったんだけど、店員さんにこう言われた。 「こちらの商品、偽物ですね」 は?ってなったよ。でも、レシートは本物なんだよね。 …… 「そんなわけないでしょ!レシート見てよ、ここにちゃんとあるじゃない!」って食い下がったんだけど、店員さんは申し訳なさそうに言った。 「確かにレシートは当店のものです。でも、このバッグは偽物ですね。一度、購入された方に確認してみては?」 友達の七海(ななみ)と一緒に店を出たけど、もう頭の中はぐるぐる。 七海がレシートをじっと見ながら言った。「レシートが本物ってことは、平井さんがバッグを買ったのは間違いないよね。でもさ、この偽物って一体何?」 その後もモヤモヤが消えなくて、夕飯の時間までそのことばっかり考えてた。 でも、夜は要とその友達たちとの食事会があるから、気持ち切り替えなきゃって思って。 要に「案件取れてボーナスも出たんだから、たまには外食くらいいいだろ」って言われて、久しぶりに外でご飯することにした。 会場に着くと、要の友達がもう個室で待ってた。ちょっと遅れて要が現れたんだけど、その隣に星野優(ほしの ゆう)がいた。 淡い色のワンピースに身を包んで、腕には......あのバッグ。 七海が私の腕を引っ張って、小声で囁いた。「見て!星野のバッグ、あんたのと全く同じじゃん!」 私も見たけど、本当に同じだった。思わず眉をひそめちゃった。 星野は要の幼なじみで、数年前に結婚したものの、旦那のDVで入院するほど殴られたらしい。何度も痛い目に遭って、やっと離婚できたんだとか。 その後は療養生活が長かったみたいで、その間、要がずっと面倒を見てたんだって。 優は恩返しだって言って、何かと要に頼るようになった。気づいたら私の真似までし始めてた。髪型や服装、どこか私に似せてくる感じで。 要にそのことを話しても、「どうして?君のセンスがいいから真似したんじゃない?」なんて軽く流されるだけ。 だから七海が星野にズバッと聞いた。 「星野さん、そのバッグ可愛いね。どこで買ったの?」 星野は私をちらっと見て、バッグをぎゅっと抱え込んだ。「ネットで買ったの。偽物だから安かったよ」 でも、そのバッグ、本当に本物にしか見えないのよね。私はテーブルにバッグを置きながら言った。「奇遇だね。私も偽物持ってるの」 盛り上がってた空気が、一瞬で凍りついた。 要が眉を上げながら口を開いた。「俺が買ったのはちゃんと店舗で正規品だよ」 私は腕を組みながら言い返した。「でもさっき店に行ったら、これ偽物だって言われたわ」 七海も負けじと嫌味を込めて星野に聞いた。「星野さん、どのネットショップで買ったの?品質いいね。うちの偽物より全然高品質だわ」 星野はムッとした顔で反論した。「何が言いたいの?私がバッグをすり替えたって言いたいの?要お兄ちゃん、彼女たち、私を侮辱してるのよ!」 そのままスマホを取り出して、ネットの購入履歴をみんなに見せつけてきた。「私はこのバッグがすごく気に入ったから、仕方なく偽物を買ったの。それが何か問題?」 ネットの購入履歴を見せられて、さすがの七海もちょっと勢いをなくしてた。 その時、要の友達の堀江浩一(ほりえ こういち)が少し咳払いをして、笑いながら場を和ませようとした。 「まあまあ、誰もお前がバッグをすり替えたなんて言ってないでしょ。さ、冷めちゃう前に食べようよ」 第2話 私は水を一口飲んで、ゆっくりと言った。「このバッグ、安くないんだからさ。偽物だったら納得できるわけないでしょ?警察呼んで、その店暴露してもらうしかないよね」 優は少し口ごもりながら言った。「たかがバッグ一つで警察とか、大げさすぎない?」 私は冷たく笑った。「今の時代、お金稼ぐの簡単じゃないんだよ?詐欺師を野放しにしてどうすんの?」そう言ってスマホを取り出し、今にも通報するぞ、という雰囲気を見せた。 その瞬間、優が突然飛びかかってきて、私のスマホを叩き落とした。 「私よ!私がやったの!これでいいでしょ?」優は少し開き直ったように続けた。「ただ、このバッグが可愛かったから、ちょっとの間借りたかっただけ。そんなカリカリしなくてもよくない?」 私は落ちたスマホを拾い上げた。画面には大きなヒビが入っている。優、思いっきり叩き落としたんだね。 「ケチだとか言うけどさ、持ち主に無断でバッグをすり替えるなんてありえないでしょ?これ、窃盗っていうんだよ。知らなかった?」 私が怒りを抑えきれずに言うと、優は要の後ろに隠れた。 「要お兄ちゃん、私はただこのバッグが欲しかっただけだよ。給料少ないし、買う余裕なんてないもん。ちょっとブランド物を持つ気分を味わいたかっただけ。本気で盗るつもりなんてなかったの」 要は優の手を軽くポンポン叩きながら、私に向き直って言った。「たかがバッグ一つのことで、そんなに大騒ぎする必要あるか?」 その一言でさらに腹が立った私は、語気を強めて反論した。「今回はたまたま気づいたからいいけど、気づかなかったらどうするの?これ、どう考えても盗みでしょ!」 要は少し面倒くさそうな顔をして、やっと口を開いた。「もういいだろ、美咲(みさき)。大人になれよ。彼女だって大変な時期があったんだ。こんなことでいちいち責めるのはやめようよ」 ちょうどその時、浩一が割って入った。「そうだよ、美咲。優とケンカしても意味ないじゃないか。それより、今回ボーナスが120万円も出たんだから、要にもっといいバッグ買ってもらえばいいだろう?」 その言葉を聞いた瞬間、要の顔は一気に険しくなり、逆に優は得意げな表情を浮かべた。 「120万のボーナス?要、あんた私には40万だって言ったよね。これどういうこと?」 私は視線を要と優の間で行き来させた。 浩一は自分が口を滑らせたことに気づいたのか、申し訳なさそうに鼻を触りながら、一歩下がって黙り込んだ。 しばらくして、要がようやく口を開いた。「そのことは家に帰ってから話すよ」 「帰ってからって何?今ここでちゃんと説明しなさいよ」 私は引き下がる気はなかった。 すると、優が横から口を挟んだ。「そうそう、ここで話せばいいじゃない。美咲に隠し通せるわけでもないんだから」 そう言って、飲み物を一口飲みながら、派手なネイルをちらつかせる。それが妙に胸に刺さるような気がした。 要がまだ黙っていると、優は妖艶な笑みを浮かべて言った。「じゃあ私が言うね。ボーナス、実際は120万。でもそのうち40万が美咲に、80万が私に」 優は片手で顔を支え、もう片方の手で首筋をさっと触った。その動きで気づいた。彼女の首に輝く新しいネックレスが目に入る。 「知らなかったんだ?要お兄ちゃんの月給30万円だって、美咲には10万、私には20万。ずーっと私の方が倍もらってたのよ」 「優!」要が鋭く声を上げた。 優はそれ以上何も言わなかったが、挑発的な目で私を見つめてきた。 頭が真っ白になる。雷が落ちたような衝撃を受けながら、私は要をじっと見つめた。「彼女の言うこと、本当なの?」 要は私の手を握り、不安そうな表情で言った。「優とは子供の頃からの付き合いで、彼女の母親が俺の恩師なんだ。だから頼まれて、少し面倒を見てて......」 「つまり、本当だってことね?」 私は声を震わせながら続けた。 「私が結婚資金を貯めようって節約してる間に、裏では彼女に金を渡してたってわけ?私が食費を切り詰め、タオルがボロボロになっても我慢してる間に、彼女は贅沢三昧でブランドバッグ?なんだ、苦労するのは私だけでいいってこと?そんなに彼女が大事なら、最初からそう言ってくれればよかったのに!そしたら私は引き下がったわ」 「違う、美咲!誤解だよ。俺が好きなのは君だけだ」要の目には焦りが浮かんでいた。 でも、もう何も聞きたくなかった。私は偽物のバッグを要に投げつけた。 「返すよ。偽物のバッグも、都合のいい妹も、まとめて私から離れなさい」 バッグは机のグラスに当たり、床に落ちて甲高い音を立てた。 誰も動けない中、私はその場を飛び出した。七海がすぐに追いかけてきて、二人でその場を後にした。 第3話 家に帰ってきたら、なんだかイライラしてきた。 部屋を見回した。ここは要と一緒に借りているアパートだ。 あの時、要が「これから一緒にお金を貯めて家を買おう」って言ったから、この部屋は最低限の家具だけでいいって話になった。 だから部屋は殺風景そのもの。リビングの食卓は角が欠けてて、木の端材で修理してなんとか使ってる状態。カーテンも要が実家から持ってきた古いやつで、色褪せて毛玉だらけ。 ふと、テーブルの下にある金属製の貯金箱が目に入った。 今どきみんなスマホ決済だけど、要は「現金を貯める感覚がいいんだよ」ってこの一方向式の貯金箱を買ったんだ。 「これは俺たちの年末のお小遣い用貯金箱だ」って毎月二人で万円札を3枚ずつ入れようって約束した。年末になったら開けて、そのお金でプレゼント買って、一年のご褒美にしようねって。 でもスマホ決済が便利すぎて、去年の年末も結局この貯金箱は開けずじまいだった。 そのままずっと放置されてて、お金を入れ続けてるのに一度も開けたことがない。 私は貯金箱を手に取り、隣の家のおじいさんのところに行くことにした。 あのおじいさん、昔は大工をやってて、家には工具がいっぱいある。おじいさんの孫娘、中学生の子なんだけど、私が貯金箱を開けてもらおうと来たのを見て面白がって動画を撮り始めた。 貯金箱をこじ開けると、中から紙幣がポロポロと出てきた。 「えっ、これって札勘練習用の模擬紙幣じゃない?」 慌てて声を上げた孫娘の言葉に驚いて、私も中を探ってみたら、確かに模擬紙幣がいっぱい混じってる。 「半分くらいが練習用みたい。古川(ふるがわ)さん、彼氏さんに騙されてたんですね」孫娘が同情するみたいに言った。 私は目を閉じて、大きく息を吸い込むと、自嘲気味に言った。 「そうだね、私、バカだったみたい」 そうか......とっくの昔に要に騙されてたんだ。私だけが二人の将来のために我慢してたなんて、ホントバカみたい。 要が帰ってきた時、床一面に散らばった模擬紙幣と開けられた貯金箱を見て、少し焦ったような声で言った。 「美咲、これは......ちょっとだけお小遣いを手元に残したかっただけなんだよ。君を騙すつもりはなかった。ただ、男って少しでも現金が手元にないとなんか落ち着かないだろ?それにさ、母さんがこう言ってたんだ。『うちの家は広いから、別に家を買わなくても一緒に住める』って。考えてみろよ、両親と一緒ならお互い助け合えるし、親がご飯作って待っててくれるって思わない?君もそんなに苦労しなくて済むし、生活費もちょっと入れるだけでいい。住宅ローンなんて背負うよりずっと楽だろ?」 喋り続ける要を見てると、失望の気持ちがじわじわと胸に溢れてきた。 「もしお金を貯めたくなかったなら、ちゃんと言えばよかったじゃん。本物の札を入れずに練習用でごまかすなんて......あんたの給料だって、私に渡したくないならはっきり言えばいいのに。星野に使うのがそんなに楽しかった?あんたの給料で星野はおしゃれして華やかに装ってる。私は二人の将来のためにずっとすっぴんで暮らしてる。その現実を見て、笑えてきたんじゃないの?」 要が慌てて首を横に振った。 「違うんだ、君を怒らせたくなかっただけなんだ。それに分かるだろ、うちは優の家と代々付き合いがあって......兄として少しは面倒見なきゃいけないだろ?優は離婚して帰ってきて精神的にも不安定だし、父親も亡くなってて、残ってるのは優と母親だけなんだ。だから毎月20万円だけ生活費を渡してるだけなんだよ」 要がポケットから小さなギフトボックスを取り出した。 「悪かったよ。もう隠し事はしないから、怒らないでくれ。ほら、これ君にプレゼント買ったんだ」 私は箱を開けた。 中に入ってたのはネックレス。だけど、それが優がしてたものとそっくりなデザインだってすぐ気づいた。 「二つ買ったんでしょ?もう一つは彼女にだよね?」 要が一瞬ハッとした顔をした。「なんで分かったんだ?二つ買ったら二割引きだったから......」 呆れるの通り越して笑いがこみ上げてきた。私は枕を掴んで要に投げつけた。 「今すぐ出て行って。今はあんたの顔なんて見たくない」 要は追い出されていった。散らかった模擬紙幣を見ながら、ふと二人の共同口座のことを思い出した。 確認すると、そこにあったはずの600万円は、きれいさっぱり消えていた。