剣崎隼人は、若くして有能、容姿端麗で、莫大な資産を持つ――剣崎グループの未来を託された後継者である。セレブ界では、彼が長年心に留め続けている“初恋の人”の存在がよく知られていた。一方で、彼には声を失った“妻”・詩織もいる。詩織は、剣崎家に引き取られた養女であり、家の影にひっそりと咲く花のように、気配を消すように生きてきた。そんな発声障害の妻は、自分から離れるはずがない――隼人はそう信じて疑わなかった。だがある日、彼は詩織から「離婚届」を突きつけられる。常に冷静だった彼が、あの瞬間、初めて心を乱された――。