夫のために夢を諦め、家族のために生きてきた。
阮清禾(ルアン・チンホー)にとって、この七年間はそんな日々だった。
かつて将来を期待されていた調香の才能も、結婚と同時に封印した。
車椅子で暮らす夫・陸時宴(ルー・シーイエン)を支え、娘の世話をし、ただひたすら“いい妻”“いい母”であろうとしてきた清禾。
けれど、彼女がどれだけ尽くしても、夫の心は義妹の阮之瑶(ルアン・ジーヤオ)**へと傾き続ける。
そのうえ娘までもが之瑶になつき、実の母でさえ清禾より彼女をかばうようになる。
この家には、自分の居場所など最初からなかったのかもしれない――。
そう思い知らされたのは、激しい雨の夜だった。
身に覚えのない罪を着せられ、冷たい雨の中で跪かされた清禾は、ついに心の糸を手放す。
離婚届に署名し、娘の親権も置いて家を出る。
それは、失った人生を取り戻すための最初の一歩だった。
もう誰かのためだけに生きるのはやめる。
そう決めた清禾は、かつて諦めた調香の世界へ戻り、自分の手で未来を切り開いていく。
やがて彼女の才能は再び花開き、止まっていた時間が少しずつ動き始める。
一方で、清禾を失った陸時宴と娘は、彼女の存在の大きさにようやく気づいていく。
けれど、一度壊れてしまった心は、簡単には元には戻らない。
これは、愛する人のためにすべてを差し出した女性が、
傷つきながらも自分自身を取り戻し、本当の幸せを選び直していく再生の物語。