かつて“天榜第一”と称され、天下最強の剣士として名を轟かせた葉長生(イエ・チャンション)。
だが、あまりに強すぎた彼は、いつしか剣を握る理由を失っていた。
すべての戦いから距離を置き、自ら剣を封じた長生は、辺境の小さな宿「平和宿屋」を営みながら静かに暮らしていた。
この宿には、ただ一つだけ絶対の掟がある。
――「争いは禁止」。
ある日、身分を隠して視察に出ていた女帝・慕傾雪(ムー・チンシュエ)が刺客に追われ、宿へ辿り着く。
行き場を失った彼女を迎え入れた長生だったが、その出会いは止まっていた運命を少しずつ動かしていく。
何気ない言葉が剣士たちを変え、
彼のそばに集う者たちは、知らぬ間に強くなっていく。
しかし長生には、誰にも明かしていない過去があった。
かつて世界を震わせた“最強の剣士”――それが彼の本当の姿だった。
やがて皇城では反乱の火が上がり、国は大きな混乱へと飲み込まれていく。
守りたいものが生まれた時、
三年もの間封じていた剣を、葉長生は再び手に取る――。
最強ゆえに戦いを捨てた男と、孤独を抱える女帝。
小さな宿屋から始まる、剣と運命の物語。