九州の地で一万年を生きた林湫(リン・チウ)は、蒼梧山の頂にそびえる一本の神木――天を突く巨大な柳へと姿を変えていた。
香火によって神へと至るシステムを手に入れた彼は、かつて人族の始祖を導き、大秦の興亡を見届け、さらには龍族を滅ぼして九州にその名を轟かせた。
だが、千年に及ぶ眠りから目覚めた彼を待っていたのは、見る影もなく衰退した大秦だった。
国を失った女帝・秦雨裳(チン・ユーシャン)は、血と涙を捧げ、最後の希望として林湫を呼び覚ます。
かつて彼を信仰した民は虐殺され、九州の祭霊たちは人族を虫けら同然に扱っていた。
さらに大炎龍神を中心とする六国の祭霊が結託し、蒼梧神木を倒してその枝を奪おうと迫る。
その時、林湫はゆっくりと黄金の瞳を開く。
「我が民を殺す者は、我が道を断つ者だ」
眠れる神木が再び目覚めた瞬間、九州の天が震え始める。
一人の神が、滅びゆく人族を守るため、再び世界の頂へと帰還する――。